書道初心者はイタチ毛の筆がおすすめ!筆選びのポイントと道具選びのコツも解説!

書道筆 書道具

「弘法筆を選ばず」といいますが、初心者が上達するには、何においても「道具選び」が大事です。特に、書道の象徴ともいえる「筆」の選び方は初心者にとても大切です。

適切な筆を選ぶことができれば、文字を書く楽しさを感じ、上達への道を開くことができます。この記事では、初心者の方に最適な筆選びのポイントとともに、他の重要な道具選びについても詳しく解説していきます。

特に、イタチ毛の筆が推奨される理由についても触れていきますので、これから書道を始める方はぜひ参考にしてください。

初心者におすすめの筆の種類

書道を始めるとき、最初に重要なのが「どの筆を使うべきか」という点です。筆には、イタチ毛、羊毛、馬毛などのさまざまな種類がありますが、初心者には特にイタチ毛の筆が推奨されます。

イタチ毛の筆は、弾力があり、墨の含みも良いため、初めての方でも使いやすいという特徴があります。ここでは、その理由を詳しく説明します。

イタチ毛の筆が初心者におすすめの理由

イタチ毛

 

イタチ毛の筆は、弾力性吸墨性のバランスが取れているため、初めて筆を持つ人にとって扱いやすいです。柔らかすぎる筆はコントロールが難しく、初心者のうちはまっすぐな線を書くことが難しくなります。

逆に硬すぎると力加減が難しいですが、イタチ毛はその中間を取った適度な硬さと柔らかさがあり、書きやすさを実感できるでしょう。

また、イタチ毛は墨の吸収も良く、長い線を書いても途切れにくいので、初心者が練習するのに最適です。

他の筆との違い:羊毛と馬毛

筆には他にも羊毛や馬毛がありますが、初心者にとっては扱いが難しい場合が多いです。羊毛の筆は非常に柔らかく、墨の含みは良いものの、細かい線を描くのが難しくなることがよくあります。

逆に馬毛の筆は硬く、力強い線を書くことができますが、初心者には少し硬すぎて扱いづらいでしょう。硬い毛の筆は、穂先が割れやすく傷みやすいです。このため、イタチ毛の筆が初心者には適しているといえます。

毛質による筆の種類 ~特徴と金額~

イタチ毛

イタチ毛の筆は、弾力性と吸墨性のバランスが取れているため、初めて筆を持つ人にとって扱いやすいです。初心者は、イタチ毛は適度な硬さと柔らかさを持ち、柔らかすぎる筆よりもコントロールしやすく、逆に硬すぎる筆よりも力加減が容易です。

毛質の特徴は ①弾力が強い ②穂先がよくまとまる ③筆のすべりが良い など

このため、書きやすさを実感しやすく、長い線を書いても途切れにくいため、初心者が練習するのに最適です。毛は短いため、半紙用(中筆)や小筆に用いられています。年々入手が困難となっているようで、価格は一般的に3,000円から10,000円程度です。

羊毛

羊毛筆

羊毛の筆は非常に柔らかく、墨の含みが良いのが特徴です。しかし、非常に柔らかいため、様々な線質が表現できますが、自在に使いこなせるようになるまでには時間がかかります。初心者には細かい線を描くのが難しくなることがあります。

特に大きな字を書くには向いていますが、筆のコントロールが難しく、力加減が重要です。初心者にはやや扱いづらいかもしれません。価格は2,000円から8,000円程度です。

馬毛

馬毛筆

馬毛の筆は硬く、力強い線を書くのに適しています。硬すぎるため、繊細なコントロールが難しく、初心者には少し扱いづらいかもしれません。少々線に粗さが残る気がします。毛の長さが取れるため、大筆に用いられています。

大きな字や太い線を書くのには向いていますが、穂先がまとまりにくく粗さがのこり初心者には難しい場合があります。価格は2,500円から9,000円程度です。

兼毫(羊毛+イタチ毛)

羊毛+イタチ毛筆

兼毫筆は、羊毛とイタチ毛を組み合わせた筆です。この筆は、羊毛の吸墨性とイタチ毛の弾力性を兼ね備えており、柔らかさと硬さのバランスが良いです。羊毛(山羊毛)とイタチ毛を主に使用し、場合によっては馬毛や狸毛なども加えます。

多用途に使えるため、初心者でも扱いやすいです。価格は3,000円から12,000円程度です。

鹿毛

鹿毛の筆は、毛質が硬く弾力に優れていますが、まとまりに欠けます。墨含みがよいため 筆の(穂先ではなく)腰部分で使用されています。少し荒々しい線となるため取り扱いにはコツが必要です。

初心者には少し難しいかもしれません。価格は4,000円から10,000円程度です。

※書道筆に使用される動物の毛の代表的なものです。この他にも 豚、猪、兎、狐、狸などが用いられます。

筆のサイズと形状の選び方

筆のサイズ選びも重要です。大きすぎる筆は細かい文字を書くのに不向きですし、小さすぎる筆は大きな文字を書くのが難しくなります。

初心者には、中筆(ちゅうふで)と呼ばれる標準的なサイズが適しています。書道で使う筆のサイズは「号」で表示されてますが、半紙用としては3~6号くらいが適当なサイズになります。

また、筆の形状にもさまざまな種類がありますが、まずはスタンダードな形の筆を選ぶことで、書道の基本技術をしっかり身につけることができます。

書道筆の形状には、さまざまな種類があります。それぞれの形状によって、書きやすさや書ける文字のスタイルが異なります。以下は、一般的な書道筆の形状の種類です:

長鋒(ちょうほう)

  • 特徴:毛先が長く、細い形状の筆です。
  • 用途:細かい線や長い線を引くのに適しています。大きな字を書いたり、カーブや線の変化が多い作品に使われます。
  • 初心者向けか?:扱いが少し難しく、コントロールが必要なため、初心者にはあまり向いていないことが多いです。
    私は草書でやわらかな字体で作品作りをする時に、このタイプの羊毛筆を使用していました。墨含みもよく、一定の調子でつらつらと表現するには適した筆です。

中鋒(ちゅうほう)

  • 特徴:毛の長さと太さが均等な、標準的な筆です。
  • 用途:一般的な用途に使われ、バランスの取れた書き味を提供します。細かい字から大きな字まで幅広く対応可能です。
  • 初心者向けか?:初心者に最適な形状です。毛の長さと柔らかさのバランスが取れているため、コントロールしやすく、書道の基本を学ぶにはぴったりです。

短鋒(たんぽう)

  • 特徴:毛先が短く、密度が高い筆です。
  • 用途:力強い線を引きやすく、安定した線を書くのに適しています。小さい字や、力強さを求める作品に使われることが多いです。
  • 初心者向けか?:コントロールがしやすいため、初心者にも比較的向いています。

兼毫(けんごう)

  • 特徴:異なる種類の毛(例えば、羊毛とイタチ毛など)を組み合わせた筆です。
  • 用途:柔らかい羊毛の吸墨性と、硬めのイタチ毛の弾力性を合わせ持つため、バランスの良い書き味が特徴です。大きな字や細かい線など、多用途に使えます。
  • 初心者向けか?:幅広い用途に対応できるため、初心者でも扱いやすいです。

太筆(ふとふで)

  • 特徴:毛の密度が高く、太い筆です。
  • 用途:大きな字を書くのに適しており、特に作品を書く際に使われることが多いです。太い線が求められる場面で活躍します。
  • 初心者向けか?:大きな字を書く場合は初心者にも使いやすいですが、細かい文字には不向きです。

細筆(ほそふで)

  • 特徴:毛が細く、繊細な筆です。
  • 用途:小さな文字や、細かい部分の書き込みに適しています。署名や細字を書くときによく使われます。
  • 初心者向けか?:初心者でも扱いやすいですが、細かい部分を書くためにはある程度の技術が必要です。

団扇筆(うちわふで)

  • 特徴:扇形の毛先を持つ筆です。
  • 用途:主に団扇や扇子に書くときに使われる特殊な筆です。装飾的な書道作品にも適しています。
  • 初心者向けか?:特殊な用途なので、通常の書道を学ぶ初心者にはあまり必要ありません。

面相筆(めんそうふで)

  • 特徴:非常に細い毛先を持つ筆で、精密な描写や細かい部分を書くために使われます。
  • 用途:特に絵画や工芸で細かい部分や細線を書く際に使用されるほか、書道においても細かい字を書くために使用されることがあります。
  • 初心者向けか?:初心者が細かい線を書きたい場合に役立ちますが、通常は中級者以上向けです。

※団扇筆や面相筆は、特殊な状況で使用されるため、通常の書道を始めたばかりの初心者にはあまり必要ありませんが、書道を深めるうちに活用する機会があるかもしれません。

これらの筆の形状の違いによって、書ける文字の種類やスタイルが異なります。初心者には、まず中鋒や兼毫筆など、バランスの良い形状の筆を選ぶと良いでしょう。

筆以外の書道道具の選び方

筆だけでなく、書道を楽しむためには他の道具も重要です。特に、、そしては、書道の練習において欠かせないアイテムです。ここでは、それぞれの選び方のポイントを説明します。

墨の選び方

初心者には、まず墨汁を使うことをおすすめします。墨汁は、すでに墨が液状になっており、手間をかけずにすぐに書道を始めることができる便利な道具です。

固形墨を使って自分で磨る楽しさもありますが、初心者には磨る作業が難しく感じることがあるため、まずは墨汁を使うことで筆運びや書く楽しさに集中することができます。

また、墨汁は一定の濃さが保たれているため、毎回安定した書き味を得られるのも利点です。

さらに、が服などに付着すると、なかなか落ちにくいので、その扱いには注意が必要です。墨汁を使用する際は、汚れても良い服を着ることをお勧めします。これにより、万が一の汚れを気にせず、書道に集中することができます。

硯の選び方 ~墨池が使いやすい~

墨池

墨を容れる道具には、墨池の2種類があります。それぞれの特徴を理解し、目的に合った道具を選ぶことが重要です。

硯(すずり)は、墨を磨るための道具です。平らな面に溝が刻まれており、固形の墨を磨ることで墨汁を作ります。墨を磨ることで、濃さや質感を調整できるのが特徴ですが、使用後の掃除もやや手間がかかる場合があります。

一方、墨池(ぼくち)は、墨汁を入れて使うための容器です。墨池は軽量で持ち運びが容易で、洗うのも簡単です。また、容器が深めに作られているため、墨汁をこぼしにくいという利点もあります。

墨池は初心者にも扱いやすく、安定して墨汁を使うことができるため、書道を始めたばかりの方には特におすすめです。墨池を使うことで、墨の濃さが一定に保たれ、よりスムーズに書道を楽しむことができます。

紙の選び方

紙選びも重要な要素です。初心者には、半紙を使うのが一般的ですが、紙質によって墨の吸い込み方が異なります。吸い込みが良すぎる紙ではにじみやすく、吸い込みが悪い紙では墨がのりにくくなります。

初心者には、適度な吸い込みのある書道専用の半紙を選ぶと良いでしょう。また、コストパフォーマンスを考慮して、練習用の手頃な紙を選ぶことも大切です。

文鎮の選び方

文鎮は、書道において半紙が動かないように固定するために使用します。文鎮の重みで紙をしっかりと押さえつけることで、書いている間に紙がずれたり動いたりするのを防ぎます。

文鎮は通常、重さや形状が異なるものがあり、書道のスタイルや自分の好みに合わせて選ぶと良いでしょう。初心者には、使いやすく、安定性のあるものを選ぶのがおすすめです。

筆巻き

筆巻きは、使い終わった筆を洗った後に巻いて保管するためのアイテムです。筆巻きは通気性が良く、筆の保管に適しています。筆を巻くことで穂先がつぶれるのを防ぎ、筆を長持ちさせることができます。

筆巻きは、筆を正しく保管し、次回の使用時に良好な状態で使えるようにするための大切な道具です。

書道を始めたばかりの体験談

初心者が書道を始める際、どの道具を選ぶかで書道への印象が大きく変わります。ある初心者の方は、初めてイタチ毛の筆を使ったとき、その扱いやすさに驚きました。

弾力があり穂先をコントロールしやすいために、まっすぐな線を引くときにスムーズで、止め、ハネなどの技法も安定しやすいです。

逆に、羊毛の筆を使ったときは、柔らかすぎて思うように線が引けず、書道が難しいと感じたこともあるそうです。適切な道具を選ぶことで、書道の楽しさを実感できることがわかります。

私は小学校1年生の頃に 毛筆を始めていますが、大学生の時作品を書くのに、書道用品店で見栄をはって5万円の 兼豪筆(羊毛に加えて何種類かの毛を混ぜ合わせて作る筆)を購入したことがあります。

京都の東寺の近くのフリーマーケットで 3本2万円で販売されていた唐筆を購入したこともあります。(今から30年前に、唐筆は1本の金額がそんなにしません。1000円も払えばそこそこ良いものが購入できた時代。3本2万円はありえないのですが その時は冷静な判断を欠いていてもったいないことをしてしまいました。)

今は、朱液で子ども達のお手本を書くのにナイロン毛の筆も使います。
書道用具専門の呉竹から発売されていますし、筆も割れにくく、弾力性がありなかなかよいです。

ご予算、用途、お好みに合わせてお選びください。

まとめ

書道初心者にとって、道具選びは非常に重要です。特に、筆は書道の技術向上に直接関わるため、最適なものを選ぶことが大切です。イタチ毛の筆は、弾力性と吸墨性に優れており、初心者に最適な選択肢です。

また、墨や硯、紙など他の道具も慎重に選ぶことで、書道の練習がより充実したものになります。この記事で紹介したポイントを参考に、自分に合った道具を選び、書道の楽しさを存分に味わってください。

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